ライフステージ別 血友病とのつきあいかた

監修荻窪病院 血液凝固科 部長 鈴木 隆史 先生

そろそろ生活習慣病?

糖尿病や高血圧、いわゆる生活習慣病に気をつける年齢に。
血友病だとどんな病気になりやすい?

血友病の患者さんも、年齢とともに
生活習慣病のリスクが高くなります。

血友病の患者さんも加齢とともに生活習慣病にかかるリスクが高まります。そのリスクは、一部の疾患を除いて、血友病でない人と同じ程度と考えられています。したがって、健康を維持するためには、人間ドックやメタボ検診などの健康診断を積極的に受け、自分のからだの状態を把握する必要があります。

一方で、血友病の人がかかりやすい病気もあります。例えば、血友病は血液が固まりにくい病気なので、血のかたまり(血栓)が原因となる「脳梗塞」は起こりにくいですが、血管がもろくなったりすることで出血が起こる「脳出血」などは起こりやすくなります。

こうした生活習慣病に関連する病気には特効薬と呼べるものはありません。予防のために、規則正しい生活や禁煙、適度な運動といった日常生活上の注意を守りましょう。

また、血友病患者さんの中にはかつて使用していた非加熱製剤によるC 型肝炎ウイルス(HCV)に感染している人も少なくありません。HCV は感染から20~30 年経つころに慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんを発病しやすいと言われています。HCV やB型肝炎ウイルスの感染がわかっている方は、こまめに検査を受けるよう心がけましょう。

血友病と関連が深いとされる生活習慣病
  • 高血圧症・・・・血友病の患者さんには高血圧症が多い。高血圧症は糖尿病とあわせて動脈硬化の原因となりやすい。
  • 腎疾患・・・・原因はわかっていないが、血友病の患者さんには腎疾患が多い。血友病では透析の管理が難しいので、腎障害の原因となる高血圧症や糖尿病、喫煙に注意する。
  • 骨密度への影響・・・・血友病の患者さんは、骨密度がやや低い傾向にある。血友病性関節症のため、運動量が少ないことが原因となっている可能性がある。
  • 脳血管障害・・・・脳梗塞は少ないが、頭蓋内出血は血友病の重篤な出血症状の一つである。定期補充療法が頭蓋内出血のリスクを減らすとの報告がある。
  • 肝障害・肝がん・・・・HCVに感染した患者さんが、肝障害から肝硬変、肝がんとなる可能性がある。

検診を受ける際は、
思わぬ出血に注意しましょう。

血友病の患者さんのがん(悪性腫瘍)の発症頻度は、肝がんなど一部を除き、血友病でない人と同じといわれています。日本では、3 人に1 人は悪性腫瘍で死亡するといわれており、血友病の患者さんでも、血友病でない人同様に早期発見・治療が大切です。

したがって、がん検診などは積極的に受けたいところですが、こうした健康診断では出血(医原性出血)を伴う検査を行う場合があります。内視鏡検査での組織採取などを行う場合には、前もって血友病であることを病院などに伝えておきましょう。

出血を予防し、関節症を進行させないために、定期補充療法を開始することがあります。

日常生活を不自由なく送るためには、健康な身体を維持することが重要です。手足の関節を運動ができるよう健康に保っておくことで、高齢になっても高い生活の質を維持することができます。

そのためには、ふだんから関節内出血を減らして、関節症を進行・悪化させないことが重要です。すでに関節が悪くなっている中高年の患者さんでも、それ以上悪くならないよう、エクササイズを行ったり、エクササイズにあわせて補充療法を行うことが勧められます。「もう悪くなってしまっているから」「もう歳だから」などとあきらめず、少しずつでも運動を続けましょう。

また、患者さんや同居のご家族が高齢になるにつれて、老眼などで器具や血管を確認するのが難しくなったり、手の動きが鈍ってうまく注射ができなくなったり、といったことで自己注射が難しくなるケースもあると思われます。
このような場合は、在宅看護などの福祉サービスが利用できる場合があるので、早めに主治医や看護師にご相談下さい。

このコンテンツには、乳幼児期から中高年期に至るまで、何度も「定期補充療法」という言葉が出てきます。
関節内出血の予防、関節症進展の予防、脳出血などの重篤な出血予防の重要性は年齢を問いません。そのため、定期補充療法は生涯にわたって行われるべきである、という声もあります。
患者さん本人の状況や背景にもよりますが「どこが改善できるのか知りたい」「改善したいところがある」という人は、主治医の先生に改めて相談し、その必要性について話し合ってみるのもよいでしょう。