ライフステージロードマップ ~出血のないヘモフィリアライフを目指して~

人生の節目ごとに区分される生活環境の段階において、血友病患者さんにとっての暮らしの変化や出血事象の注意点などを紹介しています。
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監修荻窪病院 血液凝固科 部長 鈴木 隆史 先生
荻窪病院 血液凝固科 カウンセラー 小島 賢一 先生

ライフステージロードマップ(小冊子版)

PDF (A4サイズ計2ページ/878KB)

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乳・幼児期(幼児/保育園/幼稚園)

個人差はありますが、身体の発育が盛んで、感覚機能などが発達し、好奇心が強い時期です。
また、保護者は、事故防止や応急処置の知識を身につけることも大切です。

医療費助成

  • 特定疾病療養受療証の申請
    ※手続きは、加入している医療保険の窓口となり、医療保険が変更になった場合や、国民健康保険に加入していて他の地域に転居する場合は、新たに申請する必要があります。
  • 18歳未満:小児慢性特定疾病医療費助成制度を申請(受給者証は1年ごとに更新)

治療

  • 定期補充療法の導入:2歳前後で定期補充療法の開始を検討する

転機

  • 歩き始め
  • 公園デビュー
  • 交友の拡がり
  • 入園先選定、三輪車などの乗り物や道具での遊び

出血リスクの高い事象・確認と対処方法

出産

  • 出血リスクの高い部位:頭蓋内
  • 出産時の注意:母親が保因者である可能性は?
    産婦人科医と相談して、陣痛促進剤の使用、吸引分娩、鉗子分娩、遷延分娩は避け、状況によっては帝王切開の検討も必要です。

乳児(ハイハイ、つたい歩き)

  • 出血リスクの高い部位:皮下
  • 歩行するまでの出血:転倒や尻もちによる内出血は?
    急に激しく泣き出す。あやしたり、ミルクを与えても泣き止まない、手足を動かすと嫌がるのは、筋肉や関節内の出血が疑われます。皮下出血のあざが大きくならなければ、経過をみてください。

幼稚園・保育園での活動

  • 出血リスクの高い部位:皮下、筋肉内、関節内
  • 幼稚園・保育園での活動:保育士への連絡事項と確認は?
    歩行や動作に変化があれば本人に痛みを確認し、症状に違和感を訴える場合は、保護者へ連絡するように保育士に伝えておきましょう。また、腫れや熱感がある時は該当部位を冷却し、安静にしても改善がみられない場合は早めに凝固因子製剤を補充してください。

打撲やねんざ

  • 出血リスクの高い部位:筋肉内、関節内
  • 打撲やねんざ:小さな子の出血部位と症状は?
    関節内出血はひざ、足首、ひじに多く、筋肉内出血はふくらはぎ、股関節、腕などさまざまです。また、皮下出血は圧迫すると痛みます。症状が重い場合は速やかに凝固因子製剤を補充しましょう。

鼻血など、みた目でわかる出血

  • 出血リスクの高い部位:頭蓋内
  • 鼻血:みた目でわかる止血の対処は?
    鼻血の場合は鼻の入り口の内側が多く、ワセリンをぬった綿球やガーゼを鼻がふくらむまで入れ、圧迫して止血します。もし、止血が困難な場合は、速やかに凝固因子製剤を補充しましょう。また、家庭注射ができないようであれば、主治医に相談してください。

学生期(小学校/中学校/高校)

体力や運動能力が向上し、食生活、運動、遊びなどを通して、心と身体の基礎がつくられ、思春期では、より心身が成長する時期です。家庭や地域で、子どもの行動に気を配ることも重要です。

医療費助成

  • 特定疾病療養受療証の申請
    ※手続きは、加入している医療保険の窓口となり、医療保険が変更になった場合や、国民健康保険に加入していて他の地域に転居する場合は、新たに申請する必要があります。
  • 18歳未満:小児慢性特定疾病医療費助成制度を申請(受給者証は1年ごとに更新)

治療

  • 定期補充療法の導入:自己注射によって血液凝固因子製剤を補充

転機

  • 学校選定/進学
  • 学校行事
  • 関節の評価
  • 自転車/運転免許(オートバイや乗用車)

出血リスクの高い事象・確認と対処方法

身体活動量の増加

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内 、関節内
  • 身体活動量の増加:出血への不安は?
    学校に通うようになると、行動範囲が広がります。定期補充療法の実施によって、出血をしっかりと予防しましょう。また、適度な運動は筋力および骨の増強のほか、皮膚や血管組織も強靭になりますが、出血がある場合は、投与量や投与回数などを医師と相談してください。

体育、サークル、部活動

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内、関節内、頭蓋内
  • 体育の授業やサークル、運動部での活動:運動強度に応じた凝固因子製剤の補充は?
    活動量が増えると、定期補充療法を実施していたとしても身体への負担が大きくなります。運動の強度によっては、予備的補充療法の追加を検討しましょう。

放課後や休み時間

  • 出血リスクの高い部位:筋肉内、関節内
  • 放課後や休み時間:どのような過ごし方?
    遊びに夢中になり、放課後や休み時間に出血を起こすケースは少なくありません。出血を予防するためには、その子に応じた定期補充療法をしっかり行うことが重要です。

遠足や修学旅行

  • 出血リスクの高い部位:筋肉内、関節内
  • 学校行事:遠足/修学旅行/運動会/体育祭などの活動は?
    学校の先生と相談し、行事当日の朝には予備的補充療法を行うとよいでしょう。また、修学旅行などでは、移動先でフォローしてもらえる医療機関を事前に確認しておくと安心です。

体重の負荷

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内、関節内
  • 体重の負荷:無理な負担をかけていない?
    正座や通学の移動で無理な姿勢を続けていると、足首や膝の関節に負担がかかり、出血の原因になることもあります。かかとの柔らかい靴や中じきを選ぶなどの工夫のほか、自分の弱い部位を把握し、我慢せずに状況に応じた行動をとることが大切です。

青年~壮年期(大学/社会人)

健康的な生活習慣を自分で管理し、確立できるようになり、ライフスタイルが大きく変化する時期です。
大人として自らの責任で行動することが求められます。

医療費助成

  • 特定疾病療養受療証の申請
    ※手続きは、加入している医療保険の窓口となり、医療保険が変更になった場合や、国民健康保険に加入していて他の地域に転居する場合は、新たに申請する必要があります。
  • 18歳未満:小児慢性特定疾病医療費助成制度を申請(受給者証は1年ごとに更新)
    ※引き続き治療が必要であると認められる場合は、(制度の利用は)20歳未満まで延長可
  • 20歳以上:先天性血液凝固因子障害等医療受給者証を申請(受給者証は1年ごとに更新)

治療

  • 定期補充療法の導入:自己注射によって血液凝固因子製剤を補充
  • 適宜、定期補充療法/予備的補充療法/出血時補充療法を導入(合併症や血栓症に注意)

転機

  • アルバイト・就職
  • 結婚 出産・育児
  • 生命保険・ローン

出血リスクの高い事象・確認と対処方法

健康のためのスポーツ

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内 、関節内
  • 健康のためのスポーツ:スポーツの種類は?
    運動は習慣化することが大切ですが、格闘技のような激しいスポーツは推奨できません(最終頁カテゴリー3参照)。激しいスポーツを行う場合は、活動前に十分な凝固因子製剤の予備的補充療法を行いましょう。

活動性の高い生活環境

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内、関節内、頭蓋内
  • 活動性の高い生活環境:仕事や暮らしに必要な凝固因子活性値は?
    仕事の内容や趣味などは個人によって異なります。重症度や年齢、生活環境、身体活動量に応じた凝固因子の活性値を維持するため、状況に応じた補充療法を実施してください。

体重の負荷

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内、関節内
  • 体重の負荷:無理な負担をかけていない?
    正座や通学・通勤などの移動で無理な姿勢を続けていると、足首や膝の関節に負担がかかり、出血の原因になることもあります。かかとの柔らかい靴や中じきを選ぶなどの工夫のほか、自分の弱い部位を把握し、我慢せずに状況に応じた行動をとることが大切です。

生活習慣病

  • 出血リスクの高い部位:頭蓋内
  • 生活習慣病などの合併症:運動・食事療法は?
    壮年期以降の生活に影響を与える出発点であり、高血圧、脂質異常症、糖尿病など、生活習慣病の予防を見据えて、食生活、運動、ストレス解消なども心がけた自己管理が大切です。

中高年期(中年~初老・高齢期)

次第に身体の機能が低下し、健康に対する意識が高まる時期です。また、高齢期を迎えると
身体的・精神的能力の個人差が大きくなるため、適度な運動を心掛けることも大切です。

医療費助成

  • 特定疾病療養受療証の申請
    ※手続きは、加入している医療保険の窓口となり、医療保険が変更になった場合や、国民健康保険に加入していて他の地域に転居する場合は、新たに申請する必要があります。
  • 20歳以上:先天性血液凝固因子障害等医療受給者証を申請(受給者証は1年ごとに更新)

治療

  • 適宜、定期補充療法/予備的補充療法/出血時補充療法を導入(合併症や血栓症に注意)

転機

  • 生命保険・ローン
  • 親や自分の介護
  • 在宅医療

出血リスクの高い事象・確認と対処方法

健康のためのスポーツ

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内 、関節内
  • 健康のためのスポーツ:スポーツの種類は?
    ウォーキングや水泳など、安全な運動を習慣化することが大切です。加齢によって、筋・骨格系機能も低下してくるため、スポーツを行う場合は、活動前に十分な凝固因子製剤の予備的補充療法を行いましょう。

活動性の高い生活環境

  • 出血リスクの高い部位:皮下 、筋肉内、関節内、頭蓋内
  • 活動量に応じた生活環境:仕事や暮らしに必要な凝固因子活性値は?
    仕事の内容や趣味などは個人によって異なります。重症度や年齢、生活環境、身体活動量に応じた凝固因子の活性値を維持するため、状況に応じた補充療法を実施してください。

生活習慣病

  • 出血リスクの高い部位:頭蓋内
  • 生活習慣病などの合併症:運動・食事療法は?
    血友病患者さんで40歳を超えると高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病などの割合が増加しています。生活習慣病は脳血管・心血管疾患へ進展するリスクも高いため、若い頃から食生活などに注意しましょう。

入れ歯

  • 出血リスクの高い部位:口腔内
  • 入れ歯:歯周病予防のために口腔内ケアは?
    歯のケアはとても大切です。歯科医療の際、凝固因子製剤を補充していれば、健康な人と変わらない処置はできますが、あらかじめ、血友病専門医と連絡を取り合っておきましょう。

老後の生活

  • 出血リスクの高い部位:皮下、筋肉内、関節内、頭蓋内、消化管出血
  • 老後の生活:通院や自己注射、介護などの不安は?
    老後の不安は多岐にわたります。転倒予防のためにリハビリテーションや適度な運動を行い、介護・介助が必要な高齢者や障害のある方は訪問看護ステーションの利用を検討しましょう。