ユア・アクティブ・ストーリー ~血友病患者さんのインタビュー~

vol.1 T.T.さん(30歳:軽症)

T.T.さんは現在、携帯電話の保守業務の会社で総務部に所属されています。 問い合わせの対応や社内広報紙の作成など幅広い業務を担当し、帰宅は夜9時、10時になることも多いそうです。20年以上続けている趣味の朗読活動でも発表会を開催したりと、アクティブに生活を楽しんでおられるT.T.さんに、血友病との付き合い方を伺いました。

監修荻窪病院 血液科 カウンセラー 小島 賢一 先生

T.T.さんの体験から

小さい頃から
やりたいことはチャレンジしてきた

「血友病とは生まれた時からの付き合いなので、今では疲れをためないようにするとか、長い時間同じ姿勢をとっていた場合は急に動かないようにしたり、同じ姿勢が続きそうな場合は、関節を動かしてみたりと、自分でも気を付けられるようになりましたが、小さい頃はけっこう無鉄砲でした」というT.T.さん。学校でも、みんなと一緒に活動に参加したいという思いが強く、野球、バスケット、登山など、柔道や剣道以外は何でもやってみたそうです。ただ、サッカーだったらキーパーはやらない、ヘディングはしないなど、自分なりに判断して無理はしないようにしていました。

お母さんは心配して病院にもよく相談されていたようですが、お父さんはやりたいことはやらせてみれば良いと比較的自由にさせてくれたそうです。「危ないことは避けなければいけませんが、自分の感覚を大事にして、やりたいと思ったらやってみることが大切だと思います」。

荻窪病院には生まれた時から通っておられ、小島先生とも長いお付き合いです。「自己注射を始めるまでは通院が大変な部分もありましたが、ちょっとしたことでも話を聞いてもらえるので安心して相談しています」。

人を楽しませる仕事につきたい

昔から人を楽しませることが好きで、大学でも学生ボランティアなどに取り組んでいたというT.T.さんは、人と接するサービス業に就きたいと思い、大学卒業後は外食産業の会社に店長候補として入社しました。しかし、荷物の搬入で一袋20kgほどのお米を一人で運んだり、立ち仕事が多かったりと、どうしても体への負担が大きく、続けることができなくなってしまいました。それでもサービス業への思いが諦めきれず、レンタルショップなどでも働きましたが、やはり体を使う仕事が多いと難しいことが分かりました。それから障害者支援会社やハローワークに登録して事務系の仕事を探し始め、今の会社で働くようになりました。「日々の業務はかなり忙しいのですが、違った形であってもサービス業に関われているので満足しています」。

小島先生からも、接客の仕事は体力的に大変だとは言われていたということですが、「そうは言っても性格的に簡単に諦めるタイプではないから、とりあえずやってみたら」と背中を押してもらったというT.T.さん。結果的には難しかったのですが、挑戦できたことは良い経験になったと話しています。

体調をコントロールして前向きな生活を

T.T.さんは学生の頃から、周りの人には病気のことを伝え、できないことはできないと言っておくようにしていたそうです。「先生はずっと見ていてくれるわけではないので、やはり一番身近にいる友人や職場の人を大事にしないといけないと思います。今は仕事でも責任ある部署で抱えている仕事も多いので、休んだりしなくても良いように無理をせず体調を管理することが大切だと考えています」。

また、趣味の朗読では、20人くらいの仲間と一緒に小説や童話、詩などを持ち寄って、年に数回ほど発表会を開いています。大きな会だと200人くらいのホールで発表したりもするそうです。「舞台はお客さんの表情から直接反応を見られるので落ち着きます。自分も楽しみながら、お客さんを楽しませられるように、この活動はずっと続けていきたいと思っています」と話しています。

ワークライフバランスを大切にして、QOLをきちんと維持している様子がうかがえます。
今は仕事で忙しくされていますが、病院のサマーキャンプにもなるべく参加したいと思っているというT.T.さん。同じ血友病の子どもたちやお母さんに、自分の体験を話すことで少しでも元気づけられたらという思いがあるそうです。

小島先生より

T.T.さんのように、自己注射で適切にコントロールできるようになると、ほとんど制約を受けず普通の人と変わらない生活がおくれるようになります。まずは自分のやりたいと思うことを第一に考えて、チャレンジしてみて下さい。困った時や何かあった時は私たち医療機関にご相談頂き、一緒に問題を解決していければと思います。