「インヒビター」ってなんだろう?

監修 
三重大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部
副部長・講師 松本 剛史 先生

インヒビターがつくられると、血液凝固因子製剤の効き目が弱くなる

血液凝固因子製剤による治療を行うと、患者さんによっては投与された血液凝固因子をからだが異物とみなし、「インヒビター」という抗体ができてしまうことがあります。今までの調査では、血液凝固第Ⅸ因子製剤によりインヒビターができる割合は、血友病Aの患者さんでは4.8~6.5%、血友病Bの患者さんでは3.5~5.2%*と報告されています。からだのなかのインヒビターの量を表すのにはベセスダユニット(BU)という単位が使われ、BUの値が高いほど血液凝固因子製剤の効き目が弱くなることを示しています。

血友病の重症度は血液凝固因子の働きの程度によって決まる
  • *インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン
    作成委員会:血栓止血誌24(6):640,2013

インヒビターができた場合は
治療法の変更が必要

一度インヒビターができてしまうと、血液凝固因子製剤の効き目が悪くなるため、治療法の変更が必要になります。インヒビターをもつ患者さんが出血したときの治療法には、インヒビター中和療法やバイパス止血療法などに加え、ノンファクター製剤を用いた治療法も登場しており、それぞれの患者さんの状況によって選択されます。

インヒビターができた場合は治療法の変更が必要
  • インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン
    作成委員会:血栓止血誌24(6):640,2013
    澤田 暁宏:血栓止血誌32(1):12,2021より作表
2024年11月作成 BNF46O004A