予備的補充療法
監修
荻窪病院 血液凝固科 長尾 梓 先生
荻窪病院 血液凝固科 臨床心理士 小島 賢一 先生
出血の可能性がある場合に予備的に行う補充療法
運動量が多く、出血の可能性が高いときなどに、出血を防ぐ目的で血液凝固因子製剤を補充(注射)する治療法を「予備的補充療法」といいます。
活動の前に補充することで、行動範囲や社会生活の幅の広がりが期待できます。
■予備的補充療法を行うことが想定されるシーン
小児 | 体育の授業、運動会、遠足など |
成人 | 激しいスポーツ、イベントへの参加、旅行など |
- 西田恭治:“Ⅲ.治療 2.血友病の止血治療 1)補充療法 (1) 血友病A” みんなに役立つ血友病の基礎と臨床
白幡聡ほか編 改訂3版 医薬ジャーナル社:165, 2016
天野景裕:Medical Practice 24(12):2165, 2007より改変
予備的補充療法で注射する量は活動したい内容によって決める
予備的補充療法で補充(注射)する量は、運動量によって、目標とする血液凝固因子レベルを考慮して決めます。定期補充療法を行っている人も、出血の可能性が高い活動の前に予備的補充療法を行うことで、出血のリスクが少なくなります。やってみたいスポーツや活動などがあったら、あきらめずに、まずは主治医の先生に相談してみましょう。
■予備的補充療法で注射する量の目安
運動量 | 具体例 | 目標ピーク因子レベル |
---|---|---|
少ない | 散歩や仕事などでの近距離の徒歩移動 リハビリテーション |
20~40% |
多い | 遠足や旅行など遠距離の徒歩移動 体育,スポーツ |
40~60% |
- 日本血栓止血学会:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン(2013年改訂版)
- 【利益相反】著者のうち2名はファイザー株式会社から研究費を受け、1名はファイザー株式会社からの受託研究費・寄付金を受けた。