主な症状について知ろう
監修
三重大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部
副部長・講師 松本 剛史 先生
血友病の主な症状は
関節内や筋肉内などの内出血
血友病では、からだのさまざまな部位に出血が起こりますが、なかでも関節内や筋肉内などの内出血が多くみられます。また、頭蓋内(ずがいない)に出血することもあり、特に小さなお子さんの場合は注意が必要です。出血しやすい部位は、患者さんの年齢とともに変化していくことを覚えておきましょう。
■血友病の患者さんが出血しやすい部位
- ● 頭部の打撲や外傷によっても出血するが、原因不明のことも多い
- ● 吐き気、頭痛、けいれん、眠たくなるなどの症状
- ● 乳幼児の場合は、不機嫌になったり発熱がみられることもある
- ● かぜ、鼻炎、打撲、鼻ほじりなどにより出血する
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● わずかな切り傷や噛み傷、歯の生え変わり、
また歯科的処置などにより出血する
- ● 軽い打撲などにより青あざや皮膚内に血の塊ができる
- ● ひざ、ひじ、足首、股関節に多い
- ● 痛み、熱感、腫れ、動かしづらいなどの症状
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● 脚やうで、おしりの筋肉、
また腸腰筋(ちょうようきん)※などに起こる - ● 痛み、熱感、腫れ、動かしづらいなどの症状
- ※股関節の曲げ伸ばしに関係する腹部にある大きな筋肉
出血しやすい部位は
成長とともに変化
血友病の患者さんは、乳幼児期から出血がみられますが、出血しやすい部位は、患者さんの成長とともに変化するため、年齢によって異なります。
関節内出血は、血友病では幼児期以降に特に多くみられる出血で、ひざ、ひじ、足首の関節に多く起こります。
■出血部位ごとの好発年齢
- ※ 股関節の曲げ伸ばしに関係する腹部にある大きな筋肉
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小倉妙美ほか:“Ⅱ.診断1.臨床症状”
みんなに役立つ血友病の基礎と臨床白幡聡ほか編
改訂3版医薬ジャーナル社:112,2016
関節内出血を繰り返すと…
関節内出血が繰り返されると、関節の内側にある滑膜(かつまく)という部分に炎症が起こります。さらに滑膜の炎症が続くと、関節が破壊されて変形し、動かしづらくなったり、骨と骨がぶつかって激しく痛むようになります。これを「血友病性関節症(けつゆうびょうせいかんせつしょう)」といいます。